vol.1022 「チップ」 2009.10.26
さざん亭モール周南店 岡本 裕子
17日土曜の夜、あまり見慣れない5人家族の方が来られました。お茶を準備していると強面のお父さんがしぶい声で「トイレはどこですか?」と私に言われました。「出られて右の奥でございます。」と説明するとスタスタとトイレへ行かれました。そのお父さんの第一印象は“あのお父さん恐いわぁ・・・粗相のないように気をつけよう”でした。そのお父さんは無表情で(元からそんな顔なのかもしれませんが・・・)無精ひげでサングラスをかけていました。
注文をとっていると2歳くらいの娘さんに「1万円でいいか?」と聞いていました。私が注文をとり終えると恐い顔のお父さんが「ハイ、チップ」と言っておもちゃの1万円を私にくれました。突然のことにびっくりしましたが「ありがとうございます。実はこういうおもちゃの小さい1万円ほしくてずっと探してたんです。探したけどどこにもなくて・・・だから本当にうれしいです!ありがとうございます!」と本当にうれしくてちょっと興奮吟味で言いました。
なぜ見たら一発でおもちゃとわかるような1万円を探していたかというと、合コンの時や友達と食事に行った時など支払いの時にギャグで出したらうけるだろうなぁと思っていたからです。 お客様も予想外に私が喜んだのでびっくりされていました。でもとてもなごやかな雰囲気になりました。次の料理を運ぶと2歳くらいのお子さんが「ハイ」と言って私におもちゃの2千円札をくれました。「まぁ!こんなにチップくれるの?ありがとう。」と言うとお父さんやお母さんが笑っていました。ほしかった1万円のほかに2千円札をもらったので私は思わず「うれしいな!ヤッター!」と言いました。
最後の料理を持っていくとお父さんが「ハイ」と私に1万円札を差し出しました。今度は小さいおもちゃの1万円ではなく大きさもそのままで諭吉さんも描かれていました。私は「えっ!!マジ!?」と驚きました。でもよく見ると大きさも絵柄もとってもリアルなおもちゃの1万円でした。(正直がっくり・・・)偽物とわかりテンションは急降下です。「あっ、あ・・・ありがとう」というと「あっ、やっぱりお姉ちゃんわかった?あははは」と笑われました。心の中でヤラレターー!と思いました。「でもこのリアルな偽1万円札も使えそうですね!ありがとうございます。ところでどこで売ってるんですか?」ちゃっかり聞く私です。会話が盛り上がりました。
もらってばかりでは悪いので何かお返ししたいなぁと思った私はいろいろ考えて自分の財布の中におもちゃの小判が入っていることを思い出しました。これをあげたらきっと喜ぶしウケるぞ!と思った私はさっそくその御家族の所へ行き「もらってばかりで悪いからお礼にこれあげるね。」と小判を娘さんにあげました。本当にありそうな小判だったのでお父さんやお母さんは一瞬止まっておられましたが「偽物の小判です。うふ」仕返し大成功です。お母さんは「本当にこういうの集めるの好きなんじゃね。うふふ」と笑われていました。お子様も違う種類のお金が増えて喜んでくれたと思います。
偽札のチップからお客様の距離が縮まったように思います。楽しい雰囲気でお食事されて嬉しいです。強面のお父さんもおちゃめなところがあるんですね。人は見かけによりませんね。偽1万円札はファッションセンターしまむらに売ってあるそうです。今度買いにいこうっと。